こどもの乗り物酔い
楽しい行楽でも「乗り物酔い」のご心配をされないといけないのは残念ですね。「乗り物酔い」は医学的には「動揺病」「加速度病」と呼ばれています。耳の奥の内耳が感知する平衡感覚に関する情報と目が感じる視覚に関する情報が合致しないときに脳の中で混乱が生じるために起こるとされています。 「乗り物酔い」の始まりは内耳の発達と関係があります。赤ちゃんは内耳の働きが未発達なのでどんな乗り物に乗っても平気です。内耳が発達し始める2,3歳くらいから起こり始め、小学校高学年くらいがピークとなります。
酔いやすい幼児の予防10か条
- 前日はよく眠っておきましょう。
- お腹が空きすぎも食べすぎも良くありません。
- みかん、ゆで卵、チョコレート、てんぷら、チーズ、ピザなどは避けましょう。
- 読書など下を向くことはやめて、なるべく遠くを見るようにしましょう。
- 歌をうたったり、おしゃべりしたりして楽しく過ごしましょう。
- 大きな深呼吸をしたり、窓を開けて外の空気を吸ってみましょう。
- ご心配なときには「酔い止め」を乗る1時間から30分前までに飲んで下さい。
- 急発進や急ブレーキが多いと酔いやすくなります。
- 運転前から窓を開けて車内の換気をしておいてください。
- 同乗者の方へタバコはご遠慮下さい。
夏のお肌のトラブル
夏にはお肌のトラブルがおきやすい。 なぜって?日焼けしやすい。汗をかきやすい。細菌が繁殖しやすい。肌を露出して戸外で活動することが多い。虫も多くなる。といったトラブルの要因が多いからです。 お子様のスキンケアも気を付けてあげたいですね。
日焼け
紫外線は、皮膚の大敵!
以前「日焼け」は健康のシンボルでした。しかし今では紫外線をできるだけ浴びないようにすることが重要であると見直されています。紫外線を長く浴びていると、皮膚の老化を早めてしわやしみの原因となったり、発ガンの危険性が高まったりします。そしてその悪い影響は何十年も経ってから起こってきます。紫外線は普段から浴びていますので、できるだけ避けるようにしたほうが良いのです。
紫外線に対する2つの反応タイプ
日本人は白色人種と比べて紫外線からお肌を守ってくれるメラニン色素を作りやすいといわれています。それでも日焼けの後の皮膚色の変化で二つのタイプに分けられます。 ●日焼けの後赤くなりにくく、すぐ黒くなるタイプ。こちらは紫外線に強いタイプです。 ●もともと色白で日焼けをしても赤くなるだけでなかなか黒くならないタイプ。こちらは紫外線に弱く、より一層の紫外線対策を心がけたいですね。
お子さんの紫外線対策
- 外出時間
紫外線の多い季節は4月~9月です時間は正午をピークとして午前10時~午後2時です。したがってこの時間帯にはお散歩や公園遊びは控えたいものです。 - 服装
直射日光を避けるためにつばの広い帽子や長袖などで露出を控えることが大切です。車の窓ガラスにサンシェードを貼ることなどもよいでしょう。 - 日焼け止め
お子様も必要があれば日焼け止めの使用は構いません。お子様に適しているのはSPF20程度で紫外線吸収剤を含まないノンケミカルのものです。紫外線吸収剤が入っているとかぶれることがあります。
あせも
子どもたちは汗びっしょり
子ども達はなぜ汗をかきやすいのでしょう? 汗の出る汗腺は生れた時から数が一生変わらないといわれています。 したがって体表面積の小さな子どもでは同じ面積での発汗量が大人と比べて多くなります。また、発汗を調節する自律神経の働きも大人と比べて不安定なので余計に汗をかきやすくなります。
あせもとは?
あせもは汗を皮膚の表面まで運ぶ狭い導管が詰まったために起こります。 導管が詰まってたまった汗は炎症を引き起こし、皮膚は刺激を受けてチクチクして、かゆくなります。また非常に小さな水疱ができます。
あせもの予防
あせもの予防はまず汗をかきにくくすること。エアコンは上手に使ってください。
子どもにエアコンを使うとかぜを引きやすくなるのではないか?汗をかきにくい体質になるのではないか?これは猛暑や残暑の厳しい状態では全く見当違いです。汗っかきのお子様のためにエアコンを適度に使用することをお勧めします。汗をかいた後の対応も大切です。肌着をこまめに取り替えること、シャワーを多くすることも検討してよいでしょう。
ただし、シャワーは1日3回以内にして、石けんで洗うのは1日1回でよいでしょう。
とびひ
薬の効き難いとびひが増えています!
あせもや虫刺されの後に汚い指でかいてしまうと「とびひ」になることがあります。「とびひ」は黄色ブドウ球菌などによって起こりますが、最近クスリの効きにくい多剤耐性の菌によるものが増えています。 そこで、とびひと思われたら早めに皮膚科や小児科を受診し、治療でよくならないときは必ず再度みてもらうことが大切です。
こどもの生活習慣病
10 年ほど前にかつて「成人病」といわれていたものが「生活習慣病」という総称に改められました。食習慣、運動習慣などの生活習慣が病気を起こしたり、進行させたりすることに大きく関係し、その改善が予防につながるという病気の総称です。
こども5人に1人が生活習慣病の危険因子を!
50 年以上前からアメリカでは心臓病が死亡原因のトップでした。そして、アメリカの若者での研究で 20歳代の若者の70%に動脈硬化の初期変化が認められました。一方、最近の血中コレステロールのデータでは日本人のこどもの方がアメリカ白人のこどもを上回っています。 生活習慣病の危険因子として、肥満、高脂血症、高血圧、家族歴、ストレス、運動不足などがあります。現在、こども5人に1人が生活習慣病の危険因子を抱えています!
子どもの運動不足は深刻!
現在のこども達は外遊びが非常に少なくなっており、室内でテレビゲームなどをして過ごすことが多いようです。塾や習い事も多いですね。そのため、こども達の運動不足は深刻です!
親の生活習慣がそのままこどもの生活習慣に影響!
「太ったこどもの親は太め」「太ったこどもの親には運動嫌いが多い」「無気力なお父さん、こどもに無関心なお父さんはこどもに悪い影響がある」 といったデータが出ています。親の生活習慣はそのままこども達の生活習慣に重大な影響を与えています。したがって、こどもの生活習慣を見直す場合、むしろ私たち親の生活習慣を見直すところから始めた方がよさそうです。
こどものけがと事故
こどもは日々発達しています。起こりがちな事故に対する万全な注意を払っておきましょう。もし「何か」が起きたときには、保護者以上に動揺しているのはこども自身です。状況を落ち着いて判断し、あわてず的確な処置を!
打撲や骨折の場合
●対処
軽い打撲ならとにかく冷やすこと。楽な姿勢にしてください。
●病院へ行くべき症状
出血を伴う打撲、胸部・腹部・首・背中を強打した場合、痛くて動かせない場合、皮膚の色が変わりはれている場合。打撲やねんざと骨折を見分けるのは簡単ではありません。疑わしいときは迷わず病院を受診してください。
●救急車を呼ぶべき症状
高いところから落ちて意識がない場合(抱き上げたりしない)、折れた骨が外に出ている場合、出血量が多い場合。
やけどの場合
●対処
どんな種類のやけどでも、何よりも先に冷やします。 よく伝えられるアロエなどの民間療法は厳禁です!
●病院へ行くべき症状
患部が衣服についてはがれない場合、顔や陰部のやけど、低温やけど、水ぶくれが大きい場合。
●救急車を呼ぶべき症状
広い範囲のやけど。やけどをした人の手のひらの面積を1%として、乳児の場合10%以上は命が危険。冷やしながらすぐ救急車を呼びましょう!
誤飲の場合
●対処
何を飲んだのか、どこに入ったのかをまず確認して処置します。 気管に入ったのか、食道に入ったのかを見極めます。気管に入ると、最初むせたり咳き込んだり、時には呼吸困難に陥ります。食道を通して胃の中に入ってしまえば、ほとんど症状はありません。
●お金や小さなおもちゃを飲み込んだ場合 吐かせる、呼吸困難があれば救急車。
●風船やゴム、ラップを飲み込んだ場合 口の中を見て取り出します。取れない場合は無理をせず救急車。
●毒性のあるもの
たばこ、薬品、洗剤などは原則吐かせます。強酸性やアルカリ性の洗剤、灯油、ガソリンは吐かせずにすぐ病院へ。
●毒性のないもの
クレヨン、せっけん、鉛筆は取り除き、様子を見ます。
●体に吸収されないもの
お金や文房具などは原則便と排出されるのを待ちます。
レントゲンのこどもへの影響
小さな子どもにレントゲンって、悪影響はないのですか
レントゲンの検査では、放射線を被爆します。 したがって医師は検査による診断のメリットと被爆によるデメリットを考えて検査をするかどうか判断します。 胸部X線検査では1回0.1ミリシーベルト、胃の透視では15ミリシーベルト、X線CT検査では20ミリシーベルトの被爆があります。
ところで、私たちは自然界からの放射線も1年間に2ミリシーベルトの被爆を受けています。 自然放射線の量は高いところほど多く、富士山やチョモランマの頂上では平地の数倍もあります。大地からの放射線による影響の多いブラジルやインドのある地域では日本の数十倍を越えることがあります。しかしその地方に障害が多いという報告はありません。 もう一点は臓器による放射線の影響の受けやすさです。甲状腺や生殖腺は影響を受けやすいので検査の時には必要に応じて遮蔽します。 以上から、小さなお子さんだからといって診断的に必要性がある場合は、 1枚の胸部X線検査で即悪影響をご心配になることはありません。